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山盛りのバッタが、市場の定番おやつ|メキシコ・オアハカのチャプリネスと虫の料理

市場で山盛りに売られている、赤く味付けされたチャプリネス(バッタ)

市場の台に、赤いバッタが山盛り。オアハカでは、これが「いつものおやつ」です。

  • 場所:メキシコ南部オアハカ州の州都オアハカ市。旧市街のベニート・フアレス市場と、その隣の11月20日市場のあたりで売られています。メキシコシティからは飛行機で約1時間、バスで6〜8時間ほど
  • 名前:チャプリネス(chapulines)は、メキシコで食べられているバッタの呼び名です
  • 値段:市場では1杯(メディダ)20〜50ペソと報じられています(2024年)
  • ほかの虫も:羽アリのチカタナ、アリの卵のエスカモーレス、メスカルの瓶に入る虫グサノ
目次

ここがありえない|バッタが「肉より高たんぱく」

メキシコ国立自治大学(UNAM)の記事によると、メキシコで食べられている虫は549種が記録されています。バッタのたんぱく質は、乾燥した重さ100gあたり56〜77g。鶏肉や卵、牛肉、豆より多いと説明されています(Gaceta UNAM、2020年4月)。

オアハカ州政府の広報記事では、地元の料理人が「スペイン人が来たころ、メソアメリカでは535種類の虫が食べられていた」という記録を紹介しています。オアハカ州だけでも、食べられる虫は約26種類とされます(オアハカ州政府、2021年10月)。

虫は「珍しいゲテモノ」ではありません。市場では果物や野菜と同じ並びで売られ、タコスに入れて食べる、ふだんの食べ物です(オアハカ州政府、2021年10月)。

焼いたチャプリネス
写真:MenMag / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

現地ではどう説明されているか

先スペイン期から続く食べ物

米オハイオ州立大学の人類学者による解説記事は、バッタが「数千年にわたって」オアハカの食卓にあったと書いています。文字で残る最も古い記録は、1577年のサアグン神父の『ヌエバ・エスパーニャ諸事物概史』。スペイン人が来る前、虫と卵の収穫は年3,900トン以上あったとする考古学者の推計も紹介されています。18〜19世紀の洪水や飢饉、メキシコ革命のときにも、バッタは大事な食料でした(The Conversation 転載、2025年9月)。

どこで、いくらで、どんな味で

ベニート・フアレス市場は1894年4月2日に開いた、旧市街の市場です。売り場にはトラユダ(大きな焼きトルティーヤ)や飲み物のテハテと並んで、バッタが置かれています(El Imparcial de Oaxaca、2025年4月)。隣の11月20日市場とのあいだの通りには、チレ(唐辛子)とニンニクと塩で味をつけたバッタの屋台が多く並び、11月20日市場ではバッタ入りのケサディーヤも食べられます(El Universal Oaxaca、2025年7月)。

値段は、1杯(メディダ)20〜50ペソ。キロ単位で売る店もあります。味はニンニク風味(アル・モホ・デ・アホ)、ライム、辛口の3つが紹介されています。売り手は、作り手が増えて「買う人より売る人のほうが多い」と話しています(El Imparcial de Oaxaca、2024年7月)。作り方は、ゆでてから鉄板(コマル)で炒り、ニンニク、ライム、チレ、虫の塩(サル・デ・グサノ)で味をつけるのが基本です(The Conversation 転載、2025年9月)。

旬は、資料によって書き方が違います。地元紙は「主に8月から1月」の収穫としています(El Imparcial de Oaxaca、2024年7月)。人類学者の記事は「5月下旬から9月の雨季」のあとに出ると書き、州政府の記事は「寒い季節にいちばん多い」としています。夏から冬にかけてが目安です。

羽アリ、アリの卵、メスカルの虫

チカタナ(羽アリ)は、ハキリアリの仲間(Atta mexicana など)です(Gaceta UNAM、2020年4月)。6月の上旬から中旬、その年はじめての大雨の1〜2日あとに、巣から一斉に飛び出します。コマルで羽を焦がして食べ、サルサやモレ(ソース)にも使います。食べられるのは6〜8月ごろです(ミシュランガイド・メキシコ、2024年9月)。1キロ1,600〜2,200ペソとする報道もあります(Luz Noticias、2025年6月)。

エスカモーレスは、アリ(Liometopum)の幼虫とさなぎで、「メキシコのキャビア」と呼ばれます。主な産地はイダルゴ、プエブラ、トラスカラ、メキシコ州など中央部で、1キロ2,000ペソを超えることもあると報じられています(Infobae México、2024年4月)。グアナフアト州の例では、採れるのは4〜6月です(El Financiero、2014年5月)。オアハカより中央部の料理です。

グサノは、リュウゼツラン(マゲイ)につく虫です。白いもの(Aegiale hesperiaris)と赤いもの(Comadia redtenbacheri)があります(Gaceta UNAM、2020年4月)。オアハカの名物の酒メスカルの瓶に入っている虫として知られ(オアハカ州政府、2021年10月)、すりつぶして塩と混ぜた「サル・デ・グサノ」は、メスカルやオレンジに添えられます。

鉛が見つかったという研究

米国の公衆衛生学の雑誌に、2007年、オアハカから持ち込まれたバッタが鉛中毒の原因の一つだったとする論文が載りました。カリフォルニア州モントレー郡で、子どもや妊婦の血液の鉛が高かった例を調べたものです。調べたバッタ10検体のうち、鉛は「検出なし」から最大2,500ppmまで。オアハカ州シマトラン(Zimatlán)の市場で買ったものにも高い値がありました。原因は、鉛を含む釉薬の土鍋、粉にする工程、昔の銀山による土の汚染などが考えられるものの、はっきりしないとされています(American Journal of Public Health、2007年)。

これは20年近く前の調査で、すべてのバッタに鉛があるという話ではありません。ただ、2026年10月時点で、市場のバッタの鉛を新しく調べた公的な結果は見つけられませんでした。旅行中に少し味わう程度にとどめ、毎日たくさん食べたり、子どもや妊娠中の人にお土産として大量に渡したりするのは避けるのが無難です。

日本人ならこう楽しむ(編集部の提案)

  • 最初は「少しだけ」買う。1杯20〜50ペソの小さな量で十分です。味見をさせてくれる店もあるので、指さしで聞いてみましょう
  • トラユダやタコスにのせる。そのままより、トルティーヤやワカモレと一緒のほうが「香ばしいエビ」のような感覚で入りやすいです
  • チカタナは6〜8月、バッタは夏〜冬。虫の種類で旬が違います。羽アリを食べたいなら雨季の初め、バッタなら夏のゲラゲッツァ祭り(7月)のころから冬が狙い目です
  • 午前中の市場へ。品数が多く、売り場も見やすい時間です。屋台の料理は加熱したものを選び、生野菜や氷は体調と相談してください
  • 日本へは持ち帰らない。昆虫や肉を含む加工品は、日本の検疫で止められることがあります。現地で食べきるのが安心です(持ち込みの可否は動物検疫所・植物防疫所で事前に確認を)
  • メスカルはサル・デ・グサノと。酒に強くない人は、オレンジにつけて塩だけ味わう手もあります

度胸メーター・費用・時間の目安(編集部の目安)

度胸★★★☆☆ 見た目はバッタそのもの。味は香ばしくて酸っぱい
料金バッタ1杯20〜50ペソ(El Imparcial de Oaxaca、2024年7月)。チカタナ1キロ1,600〜2,200ペソ(Luz Noticias、2025年6月)
時期バッタは夏〜冬(資料により「8〜1月」「5月下旬〜9月の雨季のあと」)。チカタナは6〜8月
所要時間市場の見物と味見で1〜2時間
あると良いもの小銭のペソ、ウェットティッシュ、胃腸薬

ここに行くには

① 自分で行く

  • 拠点の町:オアハカ市(オアハカ・デ・フアレス)。市場は旧市街の中にあり、中心部のホテルから歩いて行けます
  • 行き方:メキシコシティから飛行機で約1時間。バス(ADO など)なら6時間半〜8時間半ほど
  • 現地ツアー:Civitatis に、市場をめぐってバッタやモレ、トラユダを食べる4時間の食べ歩きツアーが出ています(2026年10月時点)

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あわせて読みたい:メキシコ航空券が安い時期と相場 / メキシコシティのどこに泊まるか(エリア別の治安と宿代) / 中南米旅行のスマホ通信(eSIM・現地SIM・WiFi)

② 現地ツアーを使う

日帰りの現地ツアーは、日本語か英語の予約サイトで事前に押さえておくと、着いてから探す手間が省けます。

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③ 日本発のツアーで行く

オアハカは、日本の旅行会社の添乗員付きツアーでは「長めのメキシコ周遊」に入ることが多い町です。目利き旅のメキシコのページでは、オアハカを回るツアーを日数別にまとめています。2026年10月時点では、7月のゲラゲッツァ祭りに合わせた8日間のツアーや、14日間・20日間の周遊が載っていました。市場での自由時間があるかは、各ツアーの日程表で確かめてください。

④ 予算と日数の例

日本からメキシコシティ経由で、オアハカに3泊する7〜8日間が目安です。市場の虫は1日で十分試せるので、残りはモンテ・アルバン遺跡や石の滝イエルベ・エル・アグアと組み合わせると、移動に見合う旅になります(編集部の目安)。

行く前に必ず確認すること

  • 外務省の危険情報では、オアハカ州はレベル1(十分注意してください)です(2026年4月8日更新)。教員の団体による道路の封鎖がたびたびあること、夜行の長距離バスで日本人が強盗にあった例があることが書かれ、昼間に有料高速道路を使うよう勧めています(外務省 海外安全ホームページ メキシコの危険情報)
  • バッタから鉛が見つかったという研究があります(2007年)。食べる量はほどほどにしてください
  • 市場の外は日差しが強い日が多いです。帽子と水を持って歩きましょう(編集部の提案)
  • 市場は人が多く、スリに注意。貴重品は体の前で持ちましょう
  • 治安の情報は、出発前に外務省 海外安全ホームページで最新の情報を確認してください。

友達に話したくなる一言

「オアハカのバッタ、乾かした重さで比べると、たんぱく質が牛肉より多いんだって。市場で1杯数十ペソで売ってる」

出典

トップの写真:Jan Harenburg / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

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