森の中に、深さ512mの穴。夜明けになると、そこから何千羽もの鳥がうずを巻いて飛び出してきます。
- 場所はメキシコ・サン・ルイス・ポトシ州アキスミョン町の山の中。拠点の町シウダー・バーリェスから車で1時間半〜2時間です
- 名前は「ツバメの洞窟(Sótano de las Golondrinas)」。でも住んでいる鳥の主役はツバメではなく、アマツバメの仲間(ベンセホ)です
- 穴の口は直径約60m。底までの深さは512m、まっすぐ落ちる部分だけで376mと紹介されています
- 2001年に「自然記念物」として守られる場所になりました。広さは285ヘクタールです
ここがありえない|東京タワーが、まるごと入る穴
穴は、口から一番深いところまで512m。口の縁からまっすぐに落ちる部分は376mと紹介されています(Food & Pleasure、2026年1月)(Sopitas、2026年7月)。エル・ウニベルサル紙は、まっすぐ落ちる部分を387mとし、口は幅60mで、底では幅300mに広がると書いています(El Universal)。数字は情報源で少し違いますが、高さ333mの東京タワーが縦に入ってしまう深さです(東京タワーとの比較は編集部による)。
そして、この穴は毎日「呼吸」します。朝は鳥が穴の中で輪を描きながら上がってきて、空へ散っていきます。夕方は、えさ取りから帰った鳥が穴の口へまっすぐ飛び込みます。エル・ウニベルサル紙は、この飛び込みの速さを最大で時速180kmと紹介しています(El Universal、2017年2月)。

現地ではどう説明されているか
住んでいるのは、ツバメではない
エル・ウニベルサル紙は、主な住人を「首の白いアマツバメ(ベンセホ・デ・クエージョ・ブランコ)」とし、ほかにオウムの仲間やコウモリもいると書いています(El Universal)。メキシコの旅行誌も、洞窟のインコ、オウム、コウモリ、アマツバメがいて、アマツバメがツバメとよく間違えられると説明しています(México Desconocido、2023年7月更新)。
鳥が出る時間、帰る時間
現地の案内サイトは、鳥が出るのを朝6時〜8時半、帰るのを夕方5時〜6時半としています(huastecapotosina.org、2026年9月)。別の案内サイトは、出る時間を夏は朝5時ごろ、冬は朝6時ごろとしています(huasteca-potosina.com、2026年9月更新)。エル・ウニベルサル紙は「朝5時半には着いておく。6時前に鳥がうずを巻き始め、30〜40分続く」「夕方は5時半に着く」と書いています。また、6月〜9月の雨の時期は鳥が出てこない日があり、ツアーが取り消しになることもあるそうです(El Universal、2017年2月)。曇りの日は鳥が出ないことがあるとも紹介されています(Sopitas、2026年7月)。
穴の底へ降りる(懸垂下降)には決まりがある
ロープで穴の底へ降りる「懸垂下降(ラペル)」もできます。ただし、鳥が穴にいない時間だけです。エル・ウニベルサル紙は、近くの集落(エヒード)がこの場所を守り、決まりを作っていること、巣作りの4月〜6月は禁止されていることを伝えています(El Universal、2017年2月)。フォーブス・メキシコは「特別な許可があるときだけ」降りられると書いています(Forbes México、2022年7月)。
2026年の業者の案内では、受け付けは8月〜3月で、4月〜7月は鳥の子育てのため休み。朝7時に鳥を見て、10時から下降、14時に入口へ戻る流れです。穴の底へ入る許可は料金に含まれ、ガイドは州の観光局の認定を受けた洞窟のガイドだとしています。滑車で降りるので経験は要らず、ただし見学地点まで568段の階段を上り下りできる体力は要るそうです(Extremers、2026年10月更新)。禁止の時期は「4月〜6月」と「4月〜7月」で情報源が違うので、申し込む業者に確かめてください。
ヘリコプターで鳥が死んだ問題
2024年5月6日、観光会社が手配したヘリコプター2機が穴の上を低く飛び、鳥が死んだと報じられました。連邦環境保護検察庁(PROFEPA)が調べを始め、守るべき決まりとして「無線操縦のドローンは禁止」「飛ぶ高さは300m以上」「巣作りの時期は穴に降りない」が挙げられています。死んだ鳥の数は「数十羽」と伝えられました(Grupo Animal/ABC Noticias、2024年5月)。エル・ウニベルサル紙は「数百羽の親鳥とひな」という訴えを伝え、正確な数はまだ分からないとする研究者の話を載せています(El Universal)。2026年4月には連邦議会の議員が「少なくとも1,200羽」と訴え、PROFEPAの罰金では足りないとしています(La Crónica de Hoy、2026年4月)。
日本人ならこう楽しむ(編集部の提案)
- 見るなら朝。朝の飛び立ちは、穴の中をうずを巻いて上がってくる動きが見どころです。夜明け前に着けるよう、前の晩はアキスミョンかシウダー・バーリェスに泊まりましょう
- 夕方も見るなら、1泊2日で。朝と夕方で動きがまったく違います。近くのタムルの滝など、ウアステカ・ポトシナ地方の水辺と組み合わせると1日が埋まります
- 声を出さない。現地では、静かにすること、縁に安全に近づくこと、ごみを捨てないことが求められています。鳥を驚かせないのがいちばんの決まりです
- 服装は、滑らない靴と上着。石の階段を長く上り下りします。山の朝は冷えることがあるので、薄手の上着を1枚
- 降りるのは8月〜3月だけ。懸垂下降をしたいなら、子育ての時期を外した秋〜冬に。ドローンは持って行っても飛ばさないこと
度胸メーター・費用・時間の目安(編集部の目安)
| 度胸 | 見るだけ ★★☆☆☆ 縁に近づくのが少し怖い/降りる ★★★★★ 376m下までロープ1本 |
|---|---|
| 料金 | 入場 1人100ペソ(huasteca-potosina.com、2026年)。「30ペソ」とする記事もある(Sopitas、2026年7月)。懸垂下降は1人5,700ペソ(El Universal)、5,900ペソ(Extremers、2026年) |
| 時期 | 見学は通年。雨の多い6月〜9月や曇りの日は鳥が出ないことがある。懸垂下降は8月〜3月(業者の案内) |
| 所要時間 | 見学だけなら朝の1〜2時間。懸垂下降は朝6時〜14時ごろ(降りて約1時間、上がって40分〜2時間) |
| 開いている時間 | 5時〜18時(huastecapotosina.org)、6時〜18時(huasteca-potosina.com)など、情報源で違う |
| 持ち物 | 滑らない靴、上着、ライト、現金のペソ |
ここに行くには
① 自分で行く
- 拠点はシウダー・バーリェス。アキスミョンの町はそこから南へ約55kmです(Forbes México、2022年7月)
- シウダー・バーリェスから洞窟へ:国道85号を南へ進み、アキスミョンの分かれ道を過ぎて山道をウニオン・デ・グアダルーペまで上ります。道は舗装されていますが、急なカーブと坂が続きます。車で1時間半〜2時間(huastecapotosina.org、2026年9月)。「50km余り・約1時間45分」とする案内もあります(huasteca-potosina.com)
- メキシコシティからシウダー・バーリェスへ:長距離バスで約10時間20分(バスの予約サイト obilet の掲載、2026年10月時点)
- 現地ツアー:VELTRA・GetYourGuide・Civitatis・KKday・Klook では、この洞窟のツアーは確かめた範囲で見つかりませんでした(2026年10月時点)。シウダー・バーリェスやシーリトラ発の地元の業者が、見学や懸垂下降のツアーを出しています
航空券を予約サイトで探す
- Expedia:
エクスペディアで航空券を探す【Expedia】(航空券+ホテルの同時予約で安くなることがある)
- skyticket:
skyticketで海外航空券を比較する【スカイチケット】(複数の航空会社・経路をまとめて比べられる)
- エアトリ:海外航空券+ホテルがお得!<エアトリ>
(日本の会社。日本語サポートで予約したい人向け)
あわせて読みたい:メキシコ航空券が安い時期と相場 / メキシコシティのどこに泊まるか(エリア別の治安と宿代) / 中南米旅行のスマホ通信(eSIM・現地SIM・WiFi)
② 現地ツアーを使う
日帰りの現地ツアーは、日本語か英語の予約サイトで事前に押さえておくと、着いてから探す手間が省けます。
現地ツアーを予約サイトで探す
- VELTRA:現地オプショナルツアー予約&観光旅行【VELTRA-ベルトラ】
(日本語ガイドのツアーを探しやすい) - KKday:現地プランはKKdayで検索!【KKday】
(割引クーポンが出ることがある) - Klook:
Klookで現地ツアー・入場券を探す【Klook】(遺跡や美術館の入場券も一緒に取れる)
③ 日本発のツアーで行く
日本の旅行会社の添乗員付きツアーで、ツバメの洞窟に寄るものは見つかりませんでした(2026年10月時点)。メキシコのほかの地域を回るツアーは、目利き旅のメキシコのページで比べられます。
④ 予算と日数の例
日本からメキシコシティへ着いて1泊。バスかレンタカーでシウダー・バーリェスへ移って2泊(朝の飛び立ちと夕方の帰りを見る)。メキシコシティへ戻って帰国。全体で7〜8日あると無理がありません。懸垂下降をするなら、もう1日足すと安心です(編集部の目安)。
行く前に必ず確認すること
- 外務省の危険情報では、サン・ルイス・ポトシ州はレベル1(十分注意してください)です(2026年4月8日発出)。サン・ルイス・ポトシ市で強盗が増えていること、州を縦に走る国道57号線でも強盗が多く、州の北部では誘拐なども起きていることが書かれています(外務省 海外安全ホームページ メキシコの危険情報)
- 山道は暗いうちに走ることになります。急なカーブが続くので、運転に慣れていなければ地元の業者のツアーを使いましょう
- 懸垂下降は、許可を持つガイドと一緒の場合だけ。4月〜7月(情報源によっては4月〜6月)は子育ての時期で降りられません
- 2024年にヘリコプターの低空飛行で鳥が死んだと報じられました。ドローンを飛ばさない、大きな音を出さないなど、現地の決まりを守ってください
- 雨や曇りの日は鳥が出ないことがあります。日程に予備の1日を入れておくと安心です
- 治安の情報は、出発前に外務省 海外安全ホームページで最新の情報を確認してください。
友達に話したくなる一言
「メキシコに東京タワーがすっぽり入る穴があって、毎朝そこから鳥が何千羽もうずを巻いて出てくるんだって。しかも名前はツバメなのに、住んでるのはツバメじゃない」
出典
- El Universal(深さ・鳥・懸垂下降の料金)、日付の記載なし
- El Universal(懸垂下降・鳥の時間)、2017年2月21日
- El Universal(ヘリコプターの件)、日付の記載なし(2024年5月6日の件)
- Grupo Animal/ABC Noticias、2024年5月28日
- La Crónica de Hoy、2026年4月22日
- Food & Pleasure、2026年1月29日
- Sopitas、2026年7月10日
- Forbes México、2022年7月16日
- México Desconocido(アキスミョン)、2023年7月更新
- huastecapotosina.org、2026年9月
- huasteca-potosina.com、2026年9月28日更新
- Extremers(懸垂下降の業者)、2026年10月15日更新
- 外務省 海外安全ホームページ メキシコの危険情報、2026年4月8日
トップの写真:Dave Bunnell / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
